こんにちは。食品工場従事者のサカイです。
食品工場の仕事は大きく3つの部門に分かれます。
- 調理部門
- ライン分門
- 仕分け・箱詰め部門
調理部門で製造した製品を、
ライン部門で盛り付けて、
仕分け・箱詰め部門で出荷の準備をします。
本日の記事では食品工場の調理部門での仕事内容について、食品工場の調理部門で実際に15年働いているサカイが、細かく紹介していきたいと思います。
これから食品工場で働こうと考えている方で、調理部門を希望されている方の参考になれば幸いです。
1食材の切り込み作業
調理部門の仕事と言えば、まずは食材の切り込み作業です。
食品工場では野菜や肉などが大量に入荷します。それらを製品ごとに適切な形にカットします。
例えば、人参ひとつを例に挙げてもたくさんカットの種類があります。
- 豚汁なら銀杏切り
- ポトフなら乱切り
- ミネストローネなら5ミリダイス
他にも千切りや短冊切りなど製品によってカットの種類は様々です。
食材の切り込み作業は、包丁を使用して手切する方法の他に、専用の機械を使用してカットすることもあります。
主に野菜をダイス状にカットする場合は、手切りだと膨大に時間がかかりますので機械を使用します。
野菜は原体で注文すると皮を剥いてカットして…となり大変なので、はじめからカットされた状態の業務用の野菜を注文することもあります。
食品工場の調理部門で働けば自ずと包丁の腕が上達します。
なんたって、毎日膨大な食材をカットするわけですから、こなす量が家庭の比ではありません。包丁のスキルが身に着けられるというのは調理部門のメリットの一つですね。
2原料や調味料の計量
計量、と言ってもあまりピンとこないかもしれませんが、食品工場の調理部門で中核をなす大事な作業です。
家庭の料理や個人経営の飲食店であれば、調味料は目分量で構いませんが、食品工場の場合はひとつひとつの調味料を計量器を使用し、正確に計らなければなりません。
調味料の配合を間違えると、せっかく作った製品もすべて廃棄処分となってしまいますので、非常に大事な作業です。
パン製造工場や製麺工場は主原料が小麦粉となるので計量も大変です。業務用の小麦粉などは一袋20~25㎏ありますので、計るだけでも超重労働です。
ちなみにサカイは以前クリスマスシーズンにケーキ製造工場で2週間ほど短期アルバイトをしたことがありますが、ひたすら小麦粉を計量し続け、次の日、強烈な筋肉痛で動けなくなったことがあります。
3原材料の解凍
食品工場で使用する原料の多くは冷凍状態のものが多いです。
ですので、自ずと
〝解凍〟
という作業があります。
熱湯で急速に解凍すると品質が落ちるため、基本的には常温庫や冷蔵庫などで半日ほどかけて自然解凍します。
精肉は解凍しすぎるとドリップが出て品質が落ちたり、逆に十分に解凍されていないとカットがしにくかったり、ミンチしてもシャリシャリになってしまったりします。
夏場の暑い時期に解凍時間を延ばしすぎると菌が繁殖し食中毒の原因にもなってしまいます。
解凍作業というのは実は奥が深いのです。
解凍には半日ほど時間がかかりますので、先を見通す能力が必要ですし、常温解凍するにしても、季節ごとに工場の温度は違います。
また原料によっても溶けやすさが違います。
アルミバットで溶かすのかプラスチックのバットで溶かすのかによっても溶けやすさは大きく変わります。
様々な条件を勘案して適切な温度帯と適切な解凍時間で解凍し、最適な状態で解凍することが出来る人は調理部門でも一目置かれます。
4原材料の検品・選別作業
食品工場で使用する原材料はすべて検品して安全性を確かめてからの使用となります。
例えば、水産物であれば、
- ホタテは貝殻、
- あさりは砂や海藻、
- 魚は骨や寄生虫
などが異物となります。
特にホタテの貝殻は喫食者の口の中を傷つけますので細心の注意が必要です。
精肉は、豚や鳥の毛が少しついていることもありますので、しっかりと目視点検し除去します。
野菜は腐っていることがありますが、入荷して一度受け取ってしまうと、返品の際トラブルになる可能性があるので、入荷した際にその場で品質を確認し、確かめる必要があります。
大量の原料をひとつひとつ目視と手作業で点検しますので、食品工場で初めて働く方は、
「めんどくせー」
と思うかもしれませんが、昨今の消費者は厳しく些細なことでもすぐにクレームをつけます。
5日報の記載
調理の作業をしながら同時に進めなければいけないのが日報の記載です。
加熱時間や加熱後の中心温度、冷却時間と冷却後の中心温度などを正確にチェックしその都度記載します。
また、調味料の計量の際もその都度チェックします。
確実にミスなく正確に計量しましたよ!
という証明のためにチェックするわけです。
また計量器が正しい値を示しているのかもチェックします。分銅を乗せて、例えば500グラムの分銅であれば500グラムを示しているかをチェックしてチェック表に記載します。
他にも、完成した製品は実際に食べて、ちゃんと味付けされているか、粘度は問題ないか、など食味チェック表にチェックを入れます。
本来、日報は安心安全な製品を製造するための手段ですが、近年の食品工場では日報を書くことが目的になっている傾向があります。
その理由は、日報の記録は新規の取引先や保健所などに対しての
うちの工場はちゃんとやってますよ!
という対外的な資料となるからです。
またHACCPの導入により
記録がなければ、やっていないのと同じ
という考え方が一般的になったため、
とにかく記録だ
という風潮がありますね。
この考え方は逆に言えば「やってなくても、記録を捏造すれば、やったことにできる」という危険な方向性を孕んでいるのでサカイ的にはちょっとどうだろうと考えたりもしますが…まあ、これはまた別の話ですね。
6加熱作業
食材を用意し、調味料も計ったら、いよいよ調理します。
ニーダーという大きな釜を使用して加熱します。レシピがあるので、食材や調味料を投入する順番や加熱時間などを守り調理していきます。他にもフライヤーなどで揚げ物をしたり、野菜をボイルしたり、燻製したりします。
これらの加熱作業で共通して言えることは一つ
暑い!!
ということです。
特に夏場は汗だらだらです。滝のように流れます。こまめな水分補給と塩分補給を行いましょう。気を抜くと脱水症状になってしまいます。
加熱作業は大変ですが、やりがいがあります。サカイは15年程調理部門で働いてますが、やはりニーダーという大きな釜で何百食分という大量の料理をする豪快さみたいなものが好きなんですよね。
7洗い物と掃除
調味料を計った入れ物や包丁やまな板はその都度洗浄します。
機械を使用して生産した場合は機械本体と機械の取り付け部品の洗浄をします。
食品工場は人の口に入るものを作っているわけですから、とにかく衛生的でなければなりません。使用したものはその都度綺麗に洗い、しかるべき保管場所に戻します。
1日の製造がすべて終了した後は、床の掃除をします。
まず、ホースで水を流し床のごみを一か所に集め捨てます。
次にブラシ掛けです。洗剤を床にまきブラシでシャカシャカ擦り、洗剤を流します。
最後は水切りワイパーを使用し、床をドライ化します。
ゴミの分別は可燃・不燃・紙ごみに分別してゴミ庫まで捨てに行きます。
袋が破けて中身が漏れる可能性がありますので、生ごみは袋を二重にするとごみ収集業者の方に対して親切でしょう。
というわけで、今回の記事では食品工場の調理部門で15年働いているサカイが、調理部門の作業内容について細かく紹介しました。
調理の仕事というと「なにか資格が必要なのではないか?」と疑問に思う方がいるかもしれませんが、資格は必要ないです。
また、「ある程度は料理ができないとダメなのではないか?」と思う方も心配無用です。料理経験ゼロでも食品工場での仕事はできます。
サカイも初めて食品工場で働き始めたころは、まったく料理をしたことがありませんでしたが、問題ありませんでした。包丁もほとんど握ったことがありませんでしたが、少しずつ働きながら上達していったといった感じです。
つまり、未経験でも全く問題ありません。
これから、食品工場の調理部門で働いてみたいなーとお考えている方の参考になれば幸いです。
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