こんにちは。食品工場従事者のサカイです。
突然ですが問題です。
食品工場従事者が一日に何回もやったり、やられたりするものはなーんだ?
やったり
やられたり
するもの…
さて、
何でしょう?
コロコロ
コロコロとは掃除のときに使う粘着カーペットクリーナーのことです。
カーペットの小さなゴミや髪の毛を粘着テープでコロコロして綺麗にするお掃除道具。皆さんのご家庭にもありますよね。
食品工場では、コロコロをカーペットではなく自分自身にコロコロします。
頭から肩、脇、胸、足と全身にコロコロをかけます。背中は自分では見えないので二人一組になってお互いに背中をコロコロし合います。
なぜ、自分自身にコロコロをするのかというと、
作業着に髪の毛が付いていると、それが落下し食品に混入する恐れがあるため
食品工場で働くと毎日コロコロをすることになります。
本日の記事では、食品工場従事者にとって非常に重要で密接なコロコロについてお話しします。
異物混入の第一位は毛髪混入
食品工場のクレームで最も多いのは毛髪による異物混入です。
人間の髪の毛は一日に約100本抜けると言われています。抜け毛の本数は、季節や個人によって増減しますがおおよその平均は100本。
薄毛に悩んでいる方であれば、500本くらい抜けているかもしれません。
毛髪は日々生活する中で抜けまくってます。部屋の床をコロコロすれば一目瞭然ですが、めっちゃ髪の毛が付きますよね。
食品工場の作業は人海作業的な側面がります。機械化は進んでいますが多くの作業は手作業です。特に中小零細規模の食品工場は手作業が多いです。
盛り付けやトッピングや調理や箱詰めなどすべての作業が手作業です。
なので、どうしても作業中に毛髪が落下し、製品に混入してしまう可能性があります。
いつコロコロするの?
コロコロをするタイミングは主に3つあります。
1.更衣室で私服から作業着に着替えた際
会社に出社したら更衣室で私服から作業着に着替えます。
私服というのは普段着ている服装ですので、食品工場の衛生基準の観点から見ると決して衛生的とは言えません。ですので、私服から作業着に着替える際に作業着に毛髪が付着する可能性があると考えます。
なので、作業着に着替え更衣室から退出する際にローラー掛けをします。
2.工場に入室する際
工場に入室する際にローラー掛けをします。
いや、さっき更衣室でローラー掛けしたばっかりじゃんか!
意味ないじゃん!
二度手間じゃん!
と思う方もいるでしょうが、工場に入室する際も改めてコロコロをします。
これはルールです。遵守しなければなりません。
3.工場での作業中は1時間に1度
工場に入室後は、1時間に1回(食品工場により異なりますが)各部署ごとにコロコロをします。
部署ごとにみんなにコロコロをする担当者を決めます。担当者は部署のメンバー全員に髪の毛が付着していないか目視チェックをしながらコロコロをします。
コロコロ担当者は大抵女性です。男性が女性にコロコロすると場合によってはセクハラになりうる可能性がありますので注意しましょう
1時間に一回もする必要あるの?メンドーだな
と思う方もいるでしょうが、
繰り返しになりますが、ルールです。仕事の一部であり給料の一部と割り切りコロコロをしましょう。。
毛髪混入は食品工場が抱える永遠の課題
ルールなのはわかったけどさ、なんで、そんなにしつこくコロコロするの?
これだけ厳重にコロコロをルール化しても、残念ながら毛髪による異物混入のクレームはなくならないからです
上述したように人間の髪は1日に100本程抜けますので完全には防ぎきれないのです。
1時間に1回のコロコロが30分に一回になったりします。
作業着の洗濯を自宅でするのではなくクリーニングに出したり
出社する前に髪をブラッシングしたり
私服にコロコロをする
などの対策が求められます。
さすがに30分に一回だと作業の効率性が落ちてしまいます
なぜ毛髪の混入は無くならないのか?
上記のような対策をしっかりと講じれば、毛髪の混入は限りなくゼロになるはずです。しかし、毛髪のクレームは定期的に発生します。
なぜか?
名探偵・サカイが推理するに
1人だとサボりがち
決められたルールを守っていない犯人がいるからです。
更衣室で作業着に着替えた時、周りに人がいればローラー掛けをするでしょうが、1人だったらどうでしょう。
もし遅刻で急いでいたら?
誰もいないしバレないだろうとローラー掛けをせず、更衣室から出る人だって中にはいるでしょう。
工場に入室する際のコロコロも周りに誰もいないからとコロコロをスルーしたり、適当に数秒で済ましたりする人だっているでしょう。
コロコロが嫌いな人はボンボン派なのかな?
…ボンボン?
新人さんの教育不足
食品工場には新人さんが頻繁に入社します。食品工場で初めて働く方は、
食品工場がどんだけ毛髪による異物混入に頭を悩ませているか
について当然知りません。
ですから、新人さんは往々にしてローラー掛けが雑です。繁忙期に短期間雇用で新人さんを10人増員した際なんかは毛髪の異物混入が高確率で発生します。
新人さんが悪いと言っているのではありません。
新人さんに徹底的に教育出来ていない社員が悪いのです。
一番大事なことは「意識」
どんなに対策を徹底したところで、それを全員が守らなければ意味がありません。100人中99人が意識を高く持ち徹底的にローラー掛けをしても、
100人中 1人がローラー掛けなんてめんどくせー。周りに誰もいないしコロコロパスしよ
という不届き者がいればクレームは発生します。
食品工場で働く従業員一人一人が意識を高く持ち、絶対に毛髪を混入させないぞ!という確固たる意識を持てば、毛髪によるクレームは限りなくゼロにできるはずです。
でも、これが難しいんですよね。食品工場で働く従業員全員がやる気でみなぎっているわけではないですからね。
おわりに
食品工場で働くと、1日に何度もコロコロをします。
なぜコロコロをするのかというと、作業着に付着した髪の毛が製品に混入しないようにするためです。
ローラー掛けのタイミングは各食品工場により異なりますが
- 更衣室で私服から作業着に着替えた際
- 工場に入室する際
- 工場での作業中は1時間に1度
毛髪による異物混入のクレームが発生すると、ローラ掛けはさらに厳しくルール化されます。
- 出社前に自宅でコロコロ
- 1時間に一回のコロコロを30分に一回
- 作業着の洗濯自宅ではなくクリーニングに出す
- 家で髪の毛をブラッシングする
しかし、いくら対策を講じたところで毛髪によるクレームはなかなかなくなりません。
結局一番大事なことは従業員一人一人の
意識
です。
意識を高く持ち、食品工場従事者として誇りを持ち、日々の仕事に望めば、結果的にクレームは限りなくゼロに近づきます。
誇りを持って働こう!
過去の「食品工場で働く前に絶対に知っておきたいシリーズ」はこちらをタップ!
第一弾 歩留り編
第二弾 バット・コンテナ編